相談員日誌

けんでぃーびすたの相談員ブログ

介護施設安全神話の崩壊

そろそろ本当の事を言わなければならない時が来ました。介護施設はこの世の楽園では無いという事。人間が人間を介護するという事は、常にリスクが伴うという事。

今回はそんなお話です。

 

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介護業界に関わる方々以外で、介護施設の現状を理解されている人達も少なからずいる事は事実です。

 

しかし、その他大勢の方々は介護施設に入所さえすればもう安心と思っているのでは無いでしょうか。

 

家で介護する事が限界…もう施設入所しかない…介護施設に入所さえすればもう安心と思っていませんでしょうか。

 

自宅介護は本当に大変です。施設入所に救いを求める気持ちは良くわかりますし、私も家族介護が必要になれば同じように施設入所を希望するでしょう。

 

しかし、施設に入所する事が=介護の終了では無いのです。確かに、直接的な介護は全部プロの介護士が行いますが、施設によっては病院の受診は家族にお願いする場合もあります。

 

また、ショートステイでは熱発があっただけで、退所になったり夜中に救急病院への受診を依頼する事もあります。帰宅願望が強い場合は家族に電話させてもらう事もあるでしょう。

 

末期にはターミナルケアについての話し合いに同席願う事もあるでしょう。

 

このように入所後にも様々な形で、介護のお手伝いをお願いする事があるのです。それだけ一人の人間を介護するという事は難しいのです。

 

そして、ここからが本題ですが…

 

歩行出来る方の転倒はつきものです。歩く人は転ぶのです。これは自然の摂理です。

 

赤ん坊が歩行出来るようになるまでどれだけ転ぶでしょうか。何度も何度も転んで、歩けるようになるのです。

 

老人はその逆です。何度も何度も転んで、歩く事が難しくなるのです。※もちろん個人差はあります。

 

その転倒を防ぐにはどうしたらよいのか。これは介護士が実際に目や耳を使って防ぐ以外に方法がありません。センサーマット等を使用し、その反応を頼りに防ぐわけです。

 

しかし、介護士の目や耳はいくつあるでしょうか?夜、一人夜勤でセンサーの反応が2つ重なったらどうなるでしょうか。ナースコールが2つ重なったらどうなるでしょうか。

 

介護士の身体が2つに分裂する事は物理的に不可能です。

 

そう、物理的に不可能な事をやってのけているのが、介護施設の介護士というわけです。

 

もちろん、夜勤帯だけの話ではありません。日勤帯においても原理は同じです。何十人の利用者に対して配置されているのは数人の介護士です。

 

どれだけプロの介護技術を駆使しても、全員の転倒を防ぐ事は物理的に不可能です。

 

老人の皆様はそれぞれ自分の意思を持って行動します。それが認知症の人であっても基本的には変わりません。

 

自らの意思で立ち上がり歩行している人に対して、一緒に付き添う事が出来ればどれだけ幸せな事でしょう。さっと、紳士のエスコートの様に付き添う事が出来ればどれだけ幸せな事でしょう。

 

フロアに2人しか介護士がいない状態で、4人の利用者が同時に立ち上がり歩行し始めたらどうすれば良いのでしょうか?必然的に、転倒リスクの計算をせざるを得ません。

 

私達介護士は常に利用者の頭の上に表示されている転倒リスクを見ています。デスノートの死神の目を想像していただければ良いでしょう。

 

介護士の人数以上の利用者が同時に動き始めた時、その転倒リスクが高い人に対して動く様にインプットされています。足りていない人員配置を、出来るだけリスクの少ない職場にする為の苦肉の策と言えます。

 

もし、転倒リスクが高い人に付き添って歩いている時に、誰も付き添う事の出来なかった利用者が転倒したらどうなるのでしょうか。

 

転倒リスクが低い利用者だってもちろん転倒します。歩く人は転ぶのですから。これは自然の摂理なのですから。あり得る事なのです。

 

転倒すれば骨折する可能性があります。そうなった場合誰が悪いのでしょうか?介護施設に過失はあるのでしょうか。少なくとも、施設内で起こった事故に対しての過失はあるでしょう。

 

どれだけ介護士が配置されていても、どれだけ配置されていなかったとしても。配置比率が1対1で無い限り、事故は起こるのです。

 

介護施設を利用される家族の皆様には声を大にしてお伝えしたいと思います。

 

転倒すると骨折してしまうかもしれません。骨折してしまうと病院に入院し、また様々な手配が必要になり家族の負担になってしまうでしょう。自身の、住み慣れた家であれば、伝え歩きで何とか転倒せずに過ごせていたのかもしれません。広い施設に行ったからが故に、伝え歩きが叶わず転倒してしまったのかもしれません。しかし…

 

介護施設を利用すると決めるのは最終的に本人、または家族です。転倒して骨折するとわかっていれば利用しなかったと思ったとしても、それはもうタラレバのお話。

 

これから介護施設を利用しようと考えられている皆様。利用契約の時に、わからない事、またはリスクについては必ず納得するまで確認してください。

 

これも言わせてください。わざと転倒させる介護士は誰もいません。介護士は利用者に対して、何事もなく毎日を生活してもらいたいと心から願っています。

 

可能な限り、事故を防ごうと心がけて働いています。もし事故があれば、今後どのようにすれば同様の事故を防げるかを検討して今後に生かそうと切磋琢磨しています。

これをご理解いただければと願います。

 

<さいごに>

現在、介護施設安全神話は完全に崩壊しています。それでも安全に過ごしてもらいたくて介護士は今出来る最大の安全対策を行っています。

 

それでも、物理的に不可能な人員配置ですから、起こるべくして事故は起こります。残念ながらこれは避けることが出来ません。必ず起こります。

 

介護施設を利用される時、このお話を思い出していただければと思います。

  

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