相談員日誌

けんでぃーびすたの相談員ブログ

人員不足過ぎて施設がひっくり返りそうな話

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全国的に介護業界の人員不足は深刻で、どの施設に聞いても「人員は余るほどいます」と言うような話は聞いた事がありません。常に配置基準ギリギリかマイナスで運営されており、1人でも辞めると現場がてんてこまいになる事必至です。

 

毎日予め決められているケアプラン通りに介護を行う事が我々の仕事なのに、その介護を行う介護者が辞めてしまうととどうなるのか?

『誰かが辞めちゃったから人員不足でこのケアは行う時間がありません』

という言い訳が成り立つのか?

それを言われた利用者は

「それはおたくの勝手でしょう」

と言いたくなりませんか?

 

人員が不足するとそのしわ寄せは介護職員にかかる事はもちろん、利用者にも直接かかる事になります。施設側の勝手で人員が不足しているにも関わらず、その利用者の知らない所でオムツ交換の回数が削られたり、離床時間が削られたり、食事介助の自力摂取部分の時間を削られて全介助される事になったり…etc

 

人員不足は誰も得をしません。当たり前の事がそれにより実行出来なくなる事はもちろん、働く人間のモチベーションも下がりますし、利用者の不安感も高まります。早急に解決するべき事案である事は明白です。

 

しかし…我が施設も例に漏れず人員不足に悩まされています。人員不足すぎて施設がひっくり返りそうな状態です。具体的には書きませんが1人2人の不足ではありません。今年に入ってから、毎月数名づつ退職していきました。皆それぞれ退職理由は違っていましたが、大抵冬のボーナスを貰ってから辞めようと決めていたのでしょう。退職のタイミングはボーナス後が多いのは定説です。

 

現在は施設職員総出で人員不足をカバーしている状態ですが、先が見えない不安からこれ以上の退職者が出ないかと心配でなりません。

辞めちゃったら求人募集をかけてみたら?と思われるでしょうが、事はそんなに単純ではありません。介護業界でよく言われる事ですが、求人募集をかけて問い合わせの電話がある事はめったにありません。介護業界ではそういう時代は10年前に終わりました。

 

新聞折り込み等の求人媒体を見ていただければ一目瞭然ですが、紙面の半分は介護系の募集広告で埋め尽くされています。今の職場を辞めて、別の施設で働きたいと考えている人がまず見るところは「給料」です。逆を言えば、ここの部分で他施設より抜きん出ていなければ、選考理由にすら引っかからないのです。

 

しかし、御存知の通り介護業界の賃金は全業種の平均よりも10万円以上低いと言われています。どこもどんぐりの背比べ状態であり、抜きん出ているなど滅多にありません。どこの施設も時給であれば、50円、100円の勝負であり、月給であれば5000円、1万円のレベルで調整しています。

また、経験があまり考慮されないのも介護施設の特徴です。考慮されるのは資格程度です。主任経験やリーダー経験があれば多少評価かれるかもしれませんが、それで大きく月給が変わるかといえばそうとも言えません。

 

この仕事は目に見えて頑張りがわかるものでもありません。どこでその人を評価するのかは非常に難しいと言えます。人事考課制度等が導入されている施設であっても、結局は欠勤が少ないとか、真面目に仕事に取り組んでいればマイナスではないと評価される事はあっても、何を持ってしてプラスの方で評価されるのか疑問です。

私も恥ずかしながら人事考課に関わる事もありましたが、目には見えない頑張りを評価する事の難しさを感じていました。これだけ売上が上がったとか、お客からの評価が高かったとか、介護の分野であっても、それらに変わる何か基準が欲しい所ですね。

 

話が少し脱線しました。つまり、これまで沢山の経験を積まれている人であれば、そこを重視してくれる施設を見つけるしかありません。せっかく転職するなら給料が上がらなくては。その後の働くモチベーションにも関わってきますし。

 

求人広告とは施設と応募者の真剣勝負です。さらに言えば、その勝負、我が施設が勝てる戦でもありません。我が施設にはそれらしいウリがありませんから。

 

新しい施設でもありませんし、給料が良いわけでもありませんし、その他の待遇が良いわけでもありません。

私は個人的に保育所と自宅へのアクセスが良いので、その部分では非常に重宝しているのですが、そのあたりに関係のない人からすればそれはウリでもなんでもありませんから。

 

他の部分であれば、何とか自分達も努力して改善していこうと思えるのですが、求人だけは私達の力では無力です。上層部にお任せする意外に方法がありません。もちろん、他の施設からの引き抜きや、辞めていった人に対する声掛けをやっていないわけではありませんが、それもこちらの施設の方が良い待遇である事が前提です。なかなか難しいわけです。

 

もし、今の状態が奇跡的に改善されたとしても、これからも同業種間での人の奪い合いが続いていく以上、いつこの様な状態になってもおかしくはありません。根本的な解決策、つまり、介護士への本当の意味での業務改善を国家レベルで施行していただきたいと切に願うばかりです。

 

 

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