朝日新聞の記事について
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はてなブックマーク - 高齢者施設、お手盛り介護 「歌ばかり歌わされて…」:朝日新聞デジタル
上記の記事について。
わかってない人が多すぎてビックリした。
いや、コメントを読んでいたら現実を知っている方もいた。
現実を理解している方の多くは、介護関係の仕事に従事しているか、要介護者をお世話している家族の方々だろうか。
この記事に関しての要点はいくつかあり、問題点もいくつもある。
皆のコメントをまとめてみると以下のようになった。
- 施設の世話になる前に死にたい。
- 老人に赤ちゃん言葉で話しかけるのはやめるべき。
- 幼稚園のお遊戯のような事を朝から晩までやるのはどうか。
- TVゲームを教えたり、将棋、麻雀を教えるべき。
「施設の世話になる前に死にたい」
切実だ。こんな記事を鵜呑みにしてしまうとそう思っても仕方がない。100%嘘だなんて言わないが、真に受けない事をオススメする。老後を悲観させて新聞を売る作戦に感じる。
まあ、私から言わせてもらえば『施設の世話になる前に死ねるなら誰も苦労しない』。
基本的に自分の意志で死を操作出来ないから介護施設が存在する。誰かの世話になりそうだと思って老人が自殺していたら介護士なんていらん。
「老人に赤ちゃん言葉で話しかけるのはやめるべき」
一般的には当然そうあるべき。一部例外を除いて。
認知症が進むと、敬語を理解出来なくなる時期がくる事がある。そのような場合、感情で対話する必要が出てくる。介護士はジェスチャーやボディータッチに合わせて、わかりやすい言葉を語りかける。
敬語は相手を敬っている事がわかりやすくて便利なツールだと思うが、よそよそしい側面もある。そのよそよそしさを怪訝する老人もいる。
要するに、その人その人に合わせたコミュニケーションを展開するにあたって、赤ちゃん言葉が有効に作用する事もあるという事を言いたい。
私的にも赤ちゃん言葉は最終手段だとは思うが。
せめてタメ口までが妥協範囲か。
「幼稚園のお遊戯のような事を朝から晩までやるのはどうか」
じゃあ何をやるのかと聞いてみたい。まぁ、それを言ったら職場放棄になるけど。
老人に何をやって楽しんでもらうか。
- ゲートボール・・・室内では不可
- 釣り・・・室内では不可
- 散歩・・・室内では不可
上記の点を見てもらえばわかるように、基本的に室内でのレクリエーションに頼るしかない。老人が毎日何をして過ごしているか皆は知っているのか?と問いたい。
- テレビ鑑賞
- 音楽鑑賞
- カラオケ
- お手玉
- けん玉
- 裁縫
どうだろう。室内でやる事って限られている。しかも個別には対応出来ない。職員が一対一で対応出来る数なんかいるわけがない。
そうなるとカラオケをする場合、歌謡曲を知っている人であればそれを歌う。認知力の低下から歌謡曲を忘れてしまったような方の場合、童謡になる。童謡はなかなか忘れない。
じゃあ逆に、幼稚園のようなお遊戯を辞めたらどうだろう。全員テレビで映画をみてもらうとする。
介護保険料を支払って、施設でテレビで映画をみただけ。それで利用者が満足するか?家族が満足するか?
介護士はより多くの利用者が一度に楽しめるものはなにか日夜研究し考えている。正直限界も感じている。良いアイデアがあれば教えて欲しい。
「テレビゲームを教えたり、将棋、麻雀を教えるべき」
これは良い案。初めのハードルさえ超えればあとは個別に遊んでもらえる。
初めのハードルがかなり高いが。
初めから将棋、麻雀を知っている人達はすでにそれらで遊んでもらっている。
ただ、ルールを知らない老人に新しいルールを教える事の難しさったらない。
老人は基本的に新しい事に対して消極的だ。認知症があればなおさら難しい。ほぼ不可能といってもいい。
テレビゲームに対応出来る老人などは逆に介護が必要ない。
我々の考えているレクリエーションは、今までの人生でやった事のある内容がベース。そこに少しだけ味付けがされていたり、ヒネリがきいていたりする程度。
そのあたりを超えてしまうと容量がパンクする。老人のハードディスクはそれぞれ容量が違うしCPUも違う。物事を相対的に考えないとレクリエーションは作れない。
どうだろうか。少しは介護の現場を知ってもらえただろうか。
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