相談員日誌

けんでぃーびすたの相談員ブログ

介護士になる為の必須条件は『嘘つき』である事。

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介護報酬が引き下げられ、現場の状況が更に悪化するであろう事が予想される今日この頃。こんな時期に、介護士を目指そうなどという奇特な方がいるとは思えませんが、もしそのような方がいるのであれば、私から一つだけ『介護士になる為の必須条件』を伝えたいと思います。

 

それは嘘つきになる事です。元来嘘つきは泥棒の始まりと言われています。しかし介護の現場では通常社会では厳禁とされているその「嘘」を、サラリと息を吐く様につかなければならない場面が数多く存在します。

 

それは相手を守る為の「嘘」でもあり、自分を守る為の「嘘」でもあります。一般的には「嘘」をつく事によって誰かが傷付く事があります。しかし介護の現場では、「嘘」をつく事によって相手もハッピーになり、自分自身も救われるのです。

 

そう、嘘も方便という言葉もありますよね。ここでいう「嘘」は悪い嘘ではありません。さらに言えば積極的に嘘をつくわけでもありません。必要最低限で、そうする以外に方法がない場合に限って使うのです。言うなれば介護士のリーサルウェポン『最終兵器』なのです。

 

何だか抽象的な話ばかりで意味が分かり難いと思います。少し具体的な使用例を挙げさせていただきます(例に挙げる利用者は全員認知症だという設定でお願いします)

 

  • (施設外に出て行こうとしている利用者に対して)今日は大雨だから明日にしましょう。
  • (他人の居室に入ろうとしている利用者に対して)水道の工事やってるみたい。危ないから向こうへ行きましょうか。
  • (夜中に家に帰ると言って聞かない利用者に対して)明日タクシーが来るから今日は寝ましょう。
 
こうやって具体例を挙げると凄くわかりやすいでしょう。結局、一時凌ぎでしか無いのです。全く根本的解決になっていませんから。
 
しかし、認知症の方に対して正攻法でアタックしても跳ね返されるだけで終わってしまい、相手に受け入れてもらう事が出来ない場合が多くあります。
 
外に行きたがっている利用者に対して「外を一人で歩くのは危ないから行っては行けません」と正論で諭した所で『そんなもん関係あるかい!!』と強行突破される事でしょう。
 
認知症の方に限らず、自分の思いを否定されるのは誰だって嫌なものです。決して行動や言動を否定してはいけません。それは介護の基本でもあります。
 
じゃあどうするのか。これはもう「嘘」しかないでしょう。う〜ん...「嘘」と言うとどうしても悪意が感じられますね。では「フィクション」とでもしましょうか。「フィクション」を交えた話で流れを変えるのです。 
 
「今日は大雨だから...」とこちらから声をかける事で『雨?足場も悪いし傘も持ってきてないし明日にするか...』と思い直してくれるかもしれません。もちろんこれが必ず成功するわけではありません。介護に鉄板ネタはありませんから、臨機応変に様々なフィクションを考えて提案していくしか手段はありません(私なら、これが通用しない場合「エレベーターが故障している」や「なぜか自動ドアが壊れた」等の機械系の故障を良く使います)。
 
 
先程も書きましたが、本来は「嘘」をつく事は望ましい事ではありません。しかし、正攻法が通用するなら認知症の方に介護士なんて必要無いのです。一般ピープルやボランティアの方々でも充分に対応出来るはずです。でも、私達プロが関わるからにはそれなりのテクニックを駆使させてもらいます。それが逆に礼儀だとも思います。では最後にもう一度書きます。
 
「嘘」をつく事によって相手もハッピーになり、自分自身も救われる必要があります。それに見合う様なウィットに富んだフィクションを作り出せるようになりましょう。それが介護士になる必須条件です。

 

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